「管理職教育・育成のエキスパート」

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     テーマ50 管理職者として“徹底する”とは

■経営者の方が、管理職者の方に求める徹底とは

経営者の方とのお話の中で、自社の管理職者は、
「ものごとが徹底できない」とか「決めたことが徹底できない」
ということばをよく聞くことがあります。

「徹底」と言う言葉を使っていますが、経営者の方のお話を整理すると、
経営者の方が、お話している「徹底」という意味合いは、
下記のようなことになります。

1.目標を各部下に落とし込んで、実施できていない。
2.部下の育成ができていない。
3.改善のために手をつけた仕事が途中で立ち消えになってしまっている。
4.本来考えていた目標が達成できていない。

要するに、管理職者として本来行うべきことが、
きちんとできていないということになります。

「徹底」とい言葉を辞書で調べてみますと、
「中途半端でなく一貫していること」、
「すみずみまで行き届くこと」と書かれています。

経営者の方は、管理職者の方が行う「部下育成」や
「担当部署のPDCA推進」において、
ぶれることなく強い意志を持って、決めた目標を、
決められた期日までに、確実に達成してほしい、
ということを「徹底」という言葉で表現しているとも言えます。

■“徹底する”ために管理職者として踏まえるべきこと

「部下育成」や「担当部署のPDCA推進」が管理職者の仕事となります。

「部下育成」や「担当部署のPDCA推進」を実践するにあたっては、
まず最初に目標を設定することになります。

このとき大切なことは、管理職者として「目標を達成する意味」を、
理屈としてきちんと認識しておくということになります。

「目標を達成する意味」の認識が甘いと、
なんがなんでも目標を達成しなければならないという強い意志がゆらぎ、
「徹底する」ということが難しくなります。

■管理職者が目標を達成する意味

管理職の方が、「目標を達成する意味」としては、
下記の3項目が上げられます。

1.担当部署内の部下の給料を払うこと。

  6ヶ月後、1年後、2年後、3年後に担当部署内の部下の給料を
  間違いなく支払うことができる。また、自分の部署が発展し、
  人員が増え、部下の給料も上げることができる。

  このための売上や利益を確保することが、管理職者の責任となります。

2.担当部署内の部下に、やりがいのある仕事を与えること。

  部下は、会社から給料をもらい生計をたてるために働きますが、
  仕事を通しての成長や生きがい、やりがいを感じない仕事が続くと
  モチベーションを低下させ、いずれは退職していくことになります。
  食べるためには、何の仕事でもよいというようには、人はなりません。

  部下が成長し、やりがいを感じることができる仕事を創造することが、
  管理職者の二つ目の責任となります。

3.目標達成のための仕事を通して部下を成長させること。

  管理職者には、現状をよく理解し、考えて、考えて、考え抜いて
  自ら目標を設定し、売上高、利益額などの成果を獲得すること、
  担当部署を発展させていくこと、その中で、部下に給料を払い、
  部下を指導・育成し、成長させていくことが求められます。

■“徹底する”とは、管理職者として
 本来獲得すべき成果を確実に獲得すること

「徹底」できたのか、できなかったのかの判断の基準は、
目標達成によって、本来獲得すべき成果が獲得できたのか
どうかということになります。

目標設定の際に、例えば、「部下との面談を毎月行う」とか、
「部署全体として取引先を何件回る」
というような目標を設定したとすると、
目標達成により、本来管理職者として獲得すべき成果は、

部下育成の場合は、部下の仕事の完成による売上高、
利益額の確保や部下の言動の実際の変化、

部署全体としては、取引先を回ることによる売上高、
利益額の確保、ということになるかと思います。

管理職者にとって「徹底」するとは、
「部下育成」や「担当部署のPDCA推進」において、
決められた期限までに、部下の言動が実際に変わったのか、
部下が、今までできなかった仕事ができるようになったのか、

部署として必要な、売上や利益が確保できたのかなど、
最初に決めた目標の遂行によって、
管理職者として、本来獲得すべき成果を確実に獲得する
ということになります。

このため、目標設定の際は、目標設定と合わせて、
その目標を設定することにより
獲得すべき成果も明確に設定しておくことが必要です。